9707年9月25日日曜日

声明


安全保障関連法案に対する抗議声明

 
 学生たちが、また、彼ら彼女ら未来の教師の育てた子どもたちが、戦争の危険にさらされる可能性のある「安全保障関連法案」に、我々は強く反対し、即時廃案を求めます。

 多くの国民が反対の声をあげ、多くの憲法学者や歴代の内閣法制局長官らが「違憲」とする「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法」が、715日の衆院平和安全法制特別委員会で、さらに16日に行われた衆院本会議で、強行採決されました。首相自身が「国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めていたにもかかわらずです。

 このような政治のありかたは、多様な意見を無視することなく議論を積み重ねてゆくという民主主義の根本的な精神をないがしろにし、単なる数の論理で押し切ろうとするものであり、民主主義を形骸化し、葬り去ってしまうものです。

 このような憲法の蹂躙は、権力の行使を制限するという、立憲主義の意味を台無しにするものです。

 このようないたずらな武力への依存は、国の内外で多くの犠牲を払って生まれた平和主義という財産を、みずから打ち捨てるという愚かな行為だと言わざるをえません。

 紛争を武力によって解決する、そのことがいかに人間の尊厳を深く傷つけ、長く災いをもたらすかということを、我々は先の大戦で、またその後に世界で起きた数々の戦争で知ったはずです。

 
戦争は 私たちの 大事なものを 傷つけます。

それは 決して もとには 戻りません。

この前の 戦争では たくさんの人が 殺されました。

この前の 戦争では たくさんの人を 殺しました。

その歴史の続きに 私たちの 歴史があります。

戦争に 安全な 場所など ありません。

どのようなかたちにしろ もう二度と 戦争に 加わりたくは ありません。

 
 先の大戦において、大学は、多くの学徒を戦地に送り出しました。 これは大学人にとって決して忘れてはならない過去であり、痛恨の歴史です。そして、再び、戦争に学生を関わらせ、戦地に赴かせるかもしれないという危機が迫っています。もう二度と、現在の、また未来の若者を戦地に送り、殺し殺される場で戦わせたくはありません。彼ら彼女らの大切な日常を、報復の連鎖のなかに追いやりたくはありません。

 教員養成大学である京都教育大学は、「人を育てる人」を育てるという重要な使命を持っています。我々は、学生が教師となり、彼ら彼女らが育てた子どもたちが戦争の危険にさらされる可能性を、また、学生たちが将来、子どもたちを戦争に追いやる手伝いをさせられる可能性を、黙って見過ごすことなど断じてできません。本学で育つ学生が輝かしい未来を創造し、また、彼ら彼女らが育てる子どもたちが安心して成長してゆくためには、平和であることが何より大事です。

 我々は、民主主義や立憲主義は誰のためにあるのかという基本に立ちながら、おかしいと感じたことを押し殺すことなく勇気をもって表明し、その考えと態度を持続してゆきたいと考えています。

201585
安全保障関連法案に反対する京都教育大学教職員有志の会
 
 
【呼びかけ人】
天野知幸(国文学科)    井谷惠子(体育学科)     加用文男(幼児教育科)
河原田博(教務・入試課)   神代健彦(教育学科)      古賀松香(幼児教育科)
郷間英世(発達障害学科)   関口久志(教育支援センター)    田中多佳子(音楽科)
土屋英男(産業技術科学科)   奈倉洋子(名誉教授)      西本有逸(英文学科)
濱田麻里(国文学科)    藤岡秀樹(教育学科)     丸山啓史(発達障害学科)
南本忠宏(総務・企画課)       髙岸正司(附属特別支援学校)
 
 
 
*附属学校園を含む京都教育大学の教職員や生徒・学生等はもちろん、元教職員や卒業生、(京都の)教師・教育関係者、地域住民の方も、どうぞ賛同の署名をお願いします。
*声明と賛同署名のことについて、同級生、先輩、後輩、部活(サークル)仲間、同僚、友人等、まわりの方にご紹介ください。
      


 
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